ISO/IEC及びJISへの戦略的対応

IMOにおいて定める国際基準に関連した重要規格等について、積極的に国際規格の原案を作成し提案しています。
それ以外についても、ISO/IECの国際規格の動向等について、我が国産業界に情報を提供するとともに、意見の反映に努めています。
また、産業界の要望に迅速に対応できるよう、積極的にJIS F規格の作成に取り組んでいます。
ISO(国際標準化機構)
電気分野を除く工業分野の国際的な標準である国際規格を策定するための国際機関で、各国の標準化機関の連合体。
img_iso2019.gifsp_img_iso2019.gif
IEC(国際電気標準会議)
電気、電子、通信、原子力などの分野での国際規格を策定するための国際機関で、各国の標準化機構の連合体。
img_iec2019.gifsp_img_iec2019.gif
日本船舶技術研究協会の取り組み
本協会は、ISO、IECにおける船舶分野の国内審議団体として、国際標準化の審議に参画し、国際規格原案の提案、審議を行っています。
このため、船舶技術戦略委員会のもとに標準部会を設置し、さらに分野別に、11の分科会と1の協議会を設置して対応しています。
img_iso-iec-gis.gifsp_img_iso-iec-gis.gif
本年度の調査研究プロジェクト
国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC)における規格策定に戦略的に対応するため、特に重要と考えられる課題に加え、本協会の研究開発の成果をJIS規格化するための以下の課題(計5件)について、調査研究プロジェクトを設けて検討しています。
防汚塗料性能評価のための試験方法に関する調査研究

防汚塗料性能評価試験方法を定める新規国際規格案を策定する。

船内情報の情報符号拡張のための調査研究

実海域データ(航海データ等)等の符号を作成し、ISO19848の標準辞書を拡張する。

船内LANに関する調査研究

無線LANを含む船内LANに関する国際規格案を策定する。

電子海図表示装置(ECD)の国際標準化に関する調査研究

ECDの表示方法等の技術的要素等を調査・検討し、新規国際規格案を策定する。

アシストスーツの標準化に関する調査研究

造船用アシストスーツ(上向き作業用)に関するJIS F規格策定に必要な要素を抽出し、JIS F規格案を策定する。

国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC)における国際規格の作成及び対応
2019年度の船舶関係ISO等の取り組みとして、「船舶に関する国際標準への日本の取組方針(2016年9月改定)」に基づく「戦略的規格提案等の実施」及び「対応体制の強化」を柱とする活動を推進します。
2018年度の活動では、以下の4件の日本発の国際規格(新規国際規格3件、既存国際規格改訂1件)を制定させることができました。
これらの日本発国際規格は、製品の輸出に欠かすことができないIMO基準等に基づく試験方法や自動運航船の実現のために必要不可欠で基盤的な要件等を定めており、国内製品の国際市場流通促進や新技術の開発・普及に貢献しています。
ISO 17339, 生存艇及び救助艇用シーアンカー(既存)(2018年7月改訂)
ISO 18079-5, 膨脹式救命設備の整備 第5部:膨脹型降下式乗込装置(新規)(2018年5月制定)
ISO 19847, 実海域データ共有化のための船内データサーバー要件(新規)(2018年10月制定)
ISO 19848, 船上機械及び機器用データ標準(新規)(2018年10月制定)
また、2018年度は、国内外から提案された審議中の規格案への日本意見の反映のため、海外で開催された14回の国際会議へ出席者(日本代表)を派遣するとともに、9回の重要な国際会議を主催又は日本において開催しました。
船舶部門日本産業規格(JIS F)の作成及び維持・管理

本協会は、船舶関係の国家規格であるJIS Fの原案作成及び維持・管理を行っています。
JIS Fは、我が国の造船所や舶用工業が蓄積した技術を基に策定されており、設計・製造の参考として、また、契約・発注時における取引の単純化や資材の購入の際の仕様書等に広く使われています。

近年は、国際規格との整合を取りつつ、技術革新に対応した規格やJISマーク制度への有効活用を考慮した規格の制定を目指しています。特に2006年2月にCSB認定を取得し、産業界の要望に対して迅速に対応できるよう規格策定に取り組んでいます。

CSB(Competent Standardization Body - 特定標準化機関)認定の取得

CSB制度とは、規格作成能力を十分に有する団体・機関が作成するJIS原案について、審査プロセスを簡略化し、JIS規格の早期制定を行うとともに国際提案の円滑化を推進することを目的として、2003年に導入された制度です。

ISO等規格開発に係る人材育成
船舶に係る国際標準化の重要性の啓蒙及び人材育成のため、本協会では標準化セミナーと標準化研修を実施しています。また、(一財)日本規格協会が管理・運営する「規格開発エキスパート」資格の取得、登録、維持のための支援を行っています。
MOU(協力覚書)に基づく日中韓のISOに係る協力体制

ISO規格開発に係る日中韓の連携を強化するため、本協会(JSTRA)、上海舶用品研究所(SMERI)及び韓国舶用品研究所(KOMERI)の間で、2012年9月に中国・上海においてMemorandum of Understanding(MOU)を締結しました。
ISOは欧州起源ということもあり、その規格開発も欧州が優位になる傾向がありますが、船舶及び海洋技術に関しては、主要造船国である日中韓が協力体制を構築することにより、3カ国の影響力を高めることが可能となりました。
日中韓各国からの規格提案に関する綿密な情報交換を行うことにより相互理解を深めるなどの協力体制を維持するため、MOUスタッフ会合を毎年開催しています。2018年度は日本で開催され、2019年度は韓国で開催される予定です。

img_iso01.jpg

ISO/TC8年次総会

img_iso02.jpg

ISO/TC8/WG10 東京会議

img_iso03.jpg

IEC/ISO/IEEE/JWG28 大阪会議

img_iso04.jpg

ISO/TC8 コペンハーゲン総会

img_iso05.jpg

ISO/TC8/SC4 東京総会

img_iso06.jpg

第6回標準化研修