IMO概要

【国際海事機関(IMO)の機構】
IMOの設立目的

IMO条約第1条に定められるIMOの設置目的は以下のとおり。

(a) 国際貿易に従事する海運に影響のあるすべての種類の技術的事項に関する政府の規制及び慣行の分野において、政府間の協力のための機構となり、海上の安全及び航行の能率に関する事項並びに船舶による海洋汚染の防止及び規制に関する事項についての実行可能な最高基準が一般に採用されることを奨励し、かつ、促進し、並びにこの条に定める目的に関連する行政事項及び法律事項を取り扱うこと
(b) 海運業務が世界の通商に差別なしに利用されることを促進するため、政府による差別的な措置及び不必要な制限で国際貿易に従事する海運に影響のあるものの除去を奨励すること。政府が自国の海運の発展及び安全保障のために行う援助及び奨励は、その援助及び奨励が、すべての国籍の船舶が国際貿易に自由に参加することを制限するような措置に基づいていない限り、差別的待遇とはならない
(c) 海運企業による不公正な制限的慣行に関する事項は当事者間の直接交渉の後に審議すること
(d) 国連のいずれかの機関又は専門機関によって付託される海運に関する事項及び海運が海洋環境に及ぼす影響に関する事項を審議すること。
(e) 機関が審議している事項に関する情報の政府間の交渉を可能にすること
IMO加盟国

171加盟国及び3準加盟国

1.総会 (Assembly (A))
 ・全ての加盟国で構成
 ・2年に1度開催
 ・任務は事業計画及び予算の決定、理事会の構成国の選挙等

2.理事会 (Council (C))
 ・40カ国で構成
 ・理事国の任期は2年
 ・日本も理事国

3.海上安全委員会 (Maritime Safety Committee(MSC))

 ・ 全ての加盟国で構成
 ・ 任務は、船舶の構造・設備、危険貨物の取扱い、海上の安全に関する手続き・要件、安全の見地からの配員、その他海上の安全に直接影響のある事項を審議、検討し、関連する国際条約の採択、改正及び各国への通報、条約の実施を促進する措置の検討等
 ・ 詳細な検討は下部の小委員会に付託


4.法律委員会(Legal Committee(LEG))
 ・全ての加盟国で構成
 ・任務は、船主の民事責任等、海事に関する法的事項全般についての検討

5.海洋環境保護委員会(Marine Environment Protection Committee(MEPC))

 ・ 全ての加盟国で構成
 ・ 任務は、船舶に起因する海洋汚染の防止に関する国際条約の採択、改正及び各国への通報、条約の実施を促進する措置の検討等
 ・ 詳細な検討は関係小委員会に付託


6.小委員会(Sub-Committee)

 ・ IMOにおける審議の効率を図るため、その所属する上部委員会(MSC及びMEPC)の付託を受け、専門的な技術的事項について審議
 ・ 小委員会での検討結果は上部委員会に報告され、条約改正等のIMOとしての最終決定は原則として上部委員会
 ・ 2014年1月より新組織に再編
小委員会一覧表
小委員会の名称 審議会事項等
人的因子訓練当直小委員会
(HTW:Sub-Committee on Human Element, Training and Watchkeeping)

訓練と航海当直の人的因子、船員の訓練及び資格に関する技術面及び運用面の問題を取り扱う。

訓練当直基準小委員会(STW)の名称を変更。

IMO規則実施小委員会
(III:Sub-Committee on Implementation of IMO Instruments)

航行安全、海事治安及び環境保護に関するIMO規則の世界での効率的な実施とその実効性確保等を取り扱う。

旗国実施小委員会(FSI)の名称を変更。

航行安全・無線通信・捜索救助小委員会
(NCSR:Sub-Committee on Navigation, Communications and Search and Rescue)

航行安全、無線通信及び捜索救助に関する対策と各国政府の義務に関する技術面及び運用面の問題を取り扱う。

航行安全(NAV)と無線通信・捜索救助(COMSAR)の2つの小委員会を統合。

汚染防止・対応小委員会
(PPR:Sub-Committee on Pollution Prevention and Response)

船舶その他の海事活動による海洋環境汚染管理と防止についての技術面及び運用面の問題を取り扱う。

ばら積液体・気体貨物(BLG)と危険物・個体貨物(DSC)の2つの小委員会をPPRとCCCに再編。

貨物運送小委員会
(CCC:Sub-Committee on Carriage of Cargoes and Containers)

貨物とコンテナの取り扱いの関連条約、行動規範その他の規則、推奨事項の効率的な実施に関する技術面及び運用面の問題等を取り扱う。

船舶設計・建造小委員会
(SDC:Sub-Committee on Ship Design and Construction)

船舶デザイン、建造、解撤、安定性、付与区などについての技術面及び運用面の問題等を取り扱う。

船舶設計・設備(DE)、防火(FP)及び復原性・満載喫水線・漁船安全(SLF)の3つの小委員会をSDCとSSEに再編。

船舶設備小委員会
(SSE:Sub-Committee on Ship Systems and Equipment)
機械設備、電子機器等のシステム、設備などに関する技術面及び運用面の問題等を取り扱う。