研究開発の活動紹介

【船舶技術の戦略的研究開発】
我が国造船・海運産業の国際競争力及び技術基盤の強化を図るとともに、物流効率化、安全確保、環境保全等のこれら産業が直面する技術課題に対応するため、戦略的研究開発を実施しています。
実施中の主な研究開発プロジェクト等
自律船舶運航技術の社会実装に向けた研究(無人運航船ビジネスモデルの調査研究(日本財団助成事業)を含む)

我が国における自律航行技術を活用した海上輸送システムの実現に向けて、無人運航船を含む自律型の海上輸送システム・運航のコンセプトとその事業性、自律型輸送システムを構成する技術及び開発・実用化に必要なインフラ・社会制度等の環境整備について並行して研究を行い、今後の技術開発及び社会実装に向けたロードマップを策定しています。

2025年頃の自律型海上輸送システムのイメージ

超高精度船体構造デジタルツインに関する研究開発(日本財団助成事業)

船舶のライフサイクル(設計、建造、運航等の各段階)を通した高精度のシミュレーション手法によりコンピュータ空間に実際の船の構造挙動を再現する「船体構造デジタルツイン」の実現に向けて、その基盤技術の確立のための基礎的研究(フィージビリティ・スタディ)を行っています。

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コンテナ船の波浪中運動・応答解析の例(海上技術安全研究所保有DLSA-Professionalによる)

先進技術開拓プラットフォームの構築(日本財団助成事業)

他分野の先進技術情報に係る調査・収集・活用可能性を検討し、「海」への活用確度が高い先進技術に関する情報交換、マッチング等による他分野の企業・人材を海事分野に取り入れる活動を通じて、日本の海事産業の競争力を支える技術を創り出していくための基盤(先進技術開拓プラットフォーム)の構築を行っています。また、これら取組を通じて、これらの調査・検討等の過程でのOJTや技術開発に関する講義、討議等による技術開発人材育成も行っています。

研究開発プロジェクトの育成
上記以外の船舶技術や海洋開発等に関し、業界のニーズを踏まえプロジェクト育成(インキュベーション等)や調査・研究を実施していきます。
インキュベーション及びインキュベーションフェーズアップ・プログラム

将来的なプロジェクトのシーズ探索、発掘のための萌芽的・先端的研究として以下の方式で調査研究を実施しています。

プラットフォーム提供方式 多数社が参加する案件の事前研究
トップランナー支援方式 特定の企業が単独で開発したい案件についての共同研究
フィールドサーベイ方式 他分野における研究開発動向調査、大学等における基礎研究進捗調査
インキュベーションフェーズアップ インキュベーション事業からフェーズアップして特定の技術開発プロジェクトとして深化させた調査研究
海の画像認識システムの構築等に係る調査研究

船舶運航の安全性向上や船員支援に向けた海事におけるデジタライゼーションの推進の一環として、AI技術(特にDeep Learning)を活用するための基盤となる「海」の画像ビッグデータ(教師データを含む)の収集・整備を実施しています。

船尾流場解析の基盤技術構築のための調査研究

船舶の推進効率向上に大きく影響する船尾形状の最適化を目的として、実験流体力学及び計算流体力学の最新の成果を取り入れた船尾流れ場の解明に資する研究開発課題の抽出のため、フィージビリティ・スタディを実施しています。

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船尾フィン有/無による流場の違い
(PIVによる計測値)
出展:(一財)日本造船技術センター

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船体表面の渦の様子(CFDによる計算値)
出展:(一財)日本造船技術センター

調査・研究
海事産業界の船舶技術に対するニーズを踏まえて、船舶技術に関連する研究開発動向、諸外国の技術・政策、環境保全・安全確保に関する国際的な基準・規格の動向等の情報収集及び整理を強化しています。

海事産業界の船舶技術に対するニーズ

諸外国の技術・政策

船舶技術に関連する研究開発動向

環境保全・安全確保に関する
国際的な基準・規格の動向

2018年度までに実施した主な研究開発プロジェクト等
レーザ・アークハイブリッド厚板溶接実用化に向けた研究開発

溶接シームトラッキング技術とレーザ・アークハイブリッド溶接技術を融合して、自動的にギャップや溶接線を検出しながらハイブリッド溶接が可能となるようなトラッキング装置を開発しました。このトラッキング装置を用いて、長尺(長さ5m)のT字継手及び突合せ継手について総合実証実験を実施したところ、長尺部材の継手部(溶接部)の健全性が確認でき、同装置の有効性が実証されました。

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液化水素ローディングシステムの整備(ローディングアームの開発とルールの整備)

将来、大量の水素需要に対応するためには、海外の安価な褐炭や再生可能エネルギーから水素を製造し、液化して日本に輸送する一連の水素サプライチェーンの確立が必要です。そのため、このサプライチェーンの一部を構成する液化水素用のローディングアームを開発しました。ローディングアームは、高い断熱性と安全に運用するための機構として、自由度が高い特殊な高断熱構造のスイベルジョイント(回転機構を有する管継手)と緊急時に液化水素を安全に遮断する離脱機構を備えました。また、安全な液化水素のローディングのため、ローディングアームやローディングに関する国際規格の原案を作成しました。なお、ローディングアームに関する国際規格の原案については、ISOに提案しました。

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生産・設計工程におけるIoT及びAIの適用可能性に関する調査研究

我が国の造船分野の生産・設計工程の革新に向けた適用可能性について明らかにするため、AIと設計の組合せによる設計支援の検討を幅広く実施し、その取組の一環として、生産設計へのAI技術適用の検討を実施しました。

工場見える化システムの現場実装評価に関する研究

我が国の造船業界におけるICTによる生産管理の高度化を加速していくため、2015~2016年度にかけて開発した「工場見える化システム」の分析精度向上・利便性向上に向けた高機能化を実施しました。高機能化されたシステムは、2017年9月よりクラウドサービスとしてトライアル利用を可能としました。

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革新的将来船舶技術に関する調査研究

未来における理想的な日本の海事産業の姿を「ブルーオーシャン」として大胆に予想し、そのバックキャストとして今後の技術開発戦略を検討し、「日本が向かう7つのブルーオーシャン」としてとりまとめました。

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受託研究
浮体式洋上風力発電施設の安全評価手法等の確立のための調査研究(国土交通省受託事業)

(国研)海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所、東京大学及び本協会がコンソーシアムを組み、関連の調査・検討や水槽実験を実施しました。それらの結果をもとに、浮体式洋上風力発電施設を対象にした安全ガイドラインについて、損傷時復原性要件の代替となる措置に係る追加案を作成しました。

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研究資金及び研究資金による研究活動の適正な運営・管理に関する取り組みについて