■IMO会議報告
~第11回IMO/BLG11の結果報告(大気汚染関係)~
4月16日から20日まで、英国ロンドンにおいて開催された第11回ばら積み液体及びガス小委員会(BLG11)において、大気汚染防止に関する規制等の審議が行われた。その主要な審議結果は以下のとおりです。 なお、BLG11では、その他、バラスト水管理条約の実施のためのガイドラインの策定等の審議が行われ、未処理バラスト水排出のリスク評価に関するガイドライン(G7)及び緊急事態を含む追加方策に関するガイドライン(G13)は最終化された。 また、船技協が研究開発を進めている天然ガスハイドレート運搬船の安全要件に関する検討についての情報提供を行うと共に、本件を新規作業項目とすることについてMSC83に提案する旨発言したところ、数ヶ国から支持を得た。また、研究開発について興味を示した国もあり、更なる情報提供に対する要請があった。
【概要】 1.NOx規制の見直し ・新造船の2次規制については、2011年から実施することとされた。規制値については各国提案を包含する2g/kWhから3.5g/kWh減の範囲で削減することとされた。 ・新造船の3次規制については、2015年又は2016年から実施することとされた。規制値については、意見集約できず、以下のオプションがとりまとめられた。 A案:現行規制値80%減、陸岸から50海里以内の海域のみ適用 B案: 2次規制値80%減、陸岸からX海里以内の指定海域のみ適用 C案:現行規制値40%~50%減、全海域に適用 ・既存船については、規制の実現性を検討するために必要な情報(エンジンの改造方法等)を収集するとともに、引き続き規制案や規制を実施する場合の認証方法について議論されることとなった。 2.SOx規制の見直し ・燃料油中の硫黄分規制については、中間会合における4オプションに今回提案された2案をあわせた以下の6つのオプション(詳細は別表参照)について、今後検討することとなった。 1)オプションA:現行規制を維持 2)オプションB:特別海域の規制のみを段階的に引き下げ 3)オプションC:特別海域を含む全海域について、留出油の使用を義務付け、硫黄分を段階的に引き下げ 4)オプションC2:オプションCにおいて、船内処理装置で硫黄分を除去する場合に残渣油の使用を認める。 5)米国提案:沿岸海域での規制を強化 6)BIMCO(バルチック国際海運連合)提案:港湾、河口付近の規制と、その他の海域を分けて規制を実施 ・IMO事務局より硫黄分を低減する場合のコスト、問題及び効果等についてIMOとして調査を行うことも可能である旨の提案があった。今後、MEPC56における討議を踏まえて調査の実施の可否が決定されことになった。 3.その他 今回、NOx、SOxの削減に関する具体的な数字を決定するに至らなかったが、今後、今年秋に中間会合、また、来年2月にBLG12が開催される予定となっており、これらの過程を経て来年3月又は4月に開催予定のMEPC57で数字等が決定される見込みである。 また、BLGに付託されている作業の期限は2007年までとなっているものの、その時期までに作業が終了することは困難と判断され、1年間の作業期限延長を図る方向となった。
【解説】 1.NOx規制の見直し 昨年4月のBLG10及び11月のノルウェー中間会合での議論を踏まえて検討が進められた。 2次規制については、2011年から実施することとされたが、規制値についてはEUROMOT(欧州内燃機関製造者協会)案(2g/kWh削減)、ノルウェー案(20%削減(1000rpm未満)、25%削減(1000rpm以上))及び米国案(15~25%削減)の3案をもとに議論が行われた。しかし、意見の集約は行われず、これら提案を全て包含する現行規制値より2g/kWhから3.5g/kWh減の範囲で削減することとされた。 3次規制については、前回会合で行った将来技術評価において、NOx削減としてはSCR(選択触媒還元)の使用により80~90%の削減が可能なことが示されたことから、後処理装置を想定した80%程度の高いNOx削減を目指す案と、研究開発及び信頼性確認が必要ということからエンジン本体の低減技術による40%~50%程度のNOx削減にとどめる案が示され、議論が行われた。また、NOx低減に伴う燃費悪化により、炭酸ガスが増加する懸念も呈された。これらを踏まえて、以下のオプションがとりまとめられた。なお、実施時期は、2015年又は2016年から実施することとされた。 A案:現行規制値80%減、陸岸から50海里以内の海域のみ適用 B案: 2次規制値80%減、陸岸からX海里以内の指定海域のみ適用 C案:現行規制値40%~50%減、全海域に適用 2000年以前に建造された既存船に対する規制については、各国提案をベースに検討がなされたものの、エンジンを規制に適合させるための措置について懐疑的な国々から反対意見があり、今後、規制の実現性を検討するために必要な情報(エンジンの改造方法等)を収集するとともに、引き続き規制案や規制を実施する場合の認証方法について議論されることとなった。 2.SOx規制の見直し 燃料油中の硫黄分の見直しについては、以下に示す様々な意見が示された。 ・留出油への転換をすすめるべき、 ・留出油への転換にはコスト増及び炭酸ガスの発生増もあり、見直しには各案の全体像の把握と費用対効果の検証が必要 ・2015年までには留出油の供給が可能であり、転換すべき ・規制の審議には、環境影響や石油供給業界への影響等更なる情報が必要。ただし急ぐべき ・SECAで規制強化を試してからグローバルな規制を検討すべき 燃料油中の硫黄濃度規制については、様々な利害が絡むことから、意見集約は非常に困難であり、オプションを6つ(別添参照)示し、次回以降に先送りとなった。 以上
●本件に関するお問い合せ先 (財)日本船舶技術研究協会 基準・規格グループ 貴島 企画・研究プロジェクトグループ 田中 TEL:0303-3502-2277 FAX:03-3504-2350 e-mail:kijima@jstra.jp、tanaka@jstra.jp
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