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IMO会議報告
 
第50回IMO設計設備小委員会の結果報告
 
3月5日から9日まで、英国ロンドンにおいて開催された第50回設計・設備小委員会(DE50)の主要な審議結果は以下のとおりです。

【概要】
1.ボイドスペース塗装基準
・ 油タンカー及びバルカーに限定してボイドスペースの防食塗装基準が合意され、非強制決議案として第83回海上安全委員会(MSC83)(2007年10月)に上程されることとなった。
・ ボイドスペースの防食塗装基準はバラストタンクの塗装基準と比較し、低仕様レベルの基準案とされた。(パワーツール処理、膜厚200μm等(スプレー塗装の回数のみは、1回か2回か合意されず、MSC83で検討される。))

2.油タンカーのカーゴタンクの防食措置
・ 電子メールによる通信会議(コレスポンデンスグループ(CG))を設置し、次回DE51(2008年2月)までに貨物油タンクの防食措置に関するSOLAS改正案の検討を進めることとなった。
・ カーゴタンクの具体的な防食措置(塗装基準案及び我が国提案の耐食鋼性能基準案)は、次回DE51から詳細な検討が開始される。(なお、DE50に先立ち国際海運会議所(ICS)の会合で耐食鋼のプレゼンテーションを行い、DE50では欧州委員会(EC)及びドイツがわが国の取り組みを支持した。)

3.IMO検査強化プログラム(総会決議A.744(18))の見直し
・ IMO検査強化プログラム(総会決議A.744(18)を国際船級協会連合(IACS)の統一規則(UR) Z10シリーズと整合し見直し作業が進行中。
・ 二重船側ばら積み貨物船に対する検査強化プログラムは原案が承認されMSC83に上程されることとなった。
・ 単船側ばら積み貨物船及び油タンカーについては、DE51での合意を目指し引き続きCGで検討することとなった。

4.救命設備関連規定の見直し
人員回収装置の性能基準、自由降下式救命艇の座席スペースの設計要件見直し等について、DE51での合意を目指し、今後CGで検討することとなった。

5.機関室で発生するビルジ処理関連規定の見直し
機関室で発生するビルジ処理システムに関するMEPC Circular 511、MARPOL附属書I/VI及びビルジ処理装置に関する決議MEPC107(49)の見直し等について、各国がそれぞれ提案を説明するにとどまり結論には至らず、DE51での合意を目指し今後CGで検討することとなった。
6.アスベストを含有する材料を使用した設備の新規設置禁止
・ 我が国よりアスベストを含有する材料を使用した設備の新規設置を全面的に禁止することを目的としてSOLAS条約附属書の規定の見直しを行うことを提案し、次回DE51の議題に含めることが合意された。
・ 当作成の「船舶における適正なアスベストの取扱いに関するマニュアル」を紹介のうえ配布し好評を得た。

【解説】
1.ボイドスペース塗装基準
昨年2月に開催されたDE49において、ボイドスペースの防食塗装基準を先送りし、全ての船舶のバラストタンク及び150m以上のバルカーの二重船側部を対象とする防食塗装基準を優先して策定することが合意され、ボイドスペースについては、電子メールベースの会議(CG)で検討が進められた。CGでは、油タンカー及びバルカーを対象とした性能基準案がまず作成され、今次会合に提出された。
一方、今次会合に向け当協会「船舶の構造破壊防止に係る基準に関する調査研究」プロジェクトでは、油タンカー及びばら積み貨物船のボイドスペースの塗装状態に係る実態調査を行い、バラストタンクに比べ大幅に腐食環境が緩やかであることを示す調査結果、及びその結果に基づく現実的なレベルの性能基準を取りまとめ、我が国意見として、CG及び今次会合に提出していた。
審議の結果、以下のとおり、合意され、今年10月開催予定の第83回海上安全委員会(MSC83)へ上程されることとなった。

(1)強制/非強制
非強制決議案とすることで合意した。
(2)適用船種
当面、船種は油タンカー及びバルカーに限定し、その他船種については、先送りすることとなった。(今後、具体的な基準作成の提案が出ない限りは、当該船種で検討を終了。)
(3)適用区画
ボイドスペースを、別添のとおり①バラストタンク基準適用区画、②ボイドスペース基準適用区画、③基準適用除外区画、の三つのカテゴリーに分類することで合意した。
(4)基準レベル
今次会合に我が国から提出したボイドスペースの実態調査結果を踏まえ、上記②の区画に対して、別添表のとおり、バラストタンクと比べて低い仕様(パワーツール処理、膜厚200μm等)が合意された。ただし、スプレー塗装の回数のみは、1回か2回か合意されず、MSC83に送られることとなった。

2.油タンカーのカーゴタンクの防食措置
昨年11月のMSC82において、欧州諸国及び船主団体等より、油タンカーの貨物油タンクの腐食による構造強度の低下を防止するため貨物油タンク内部に防食塗装を義務づけるSOLAS条約附属書改正案が提出され、これに対し、我が国は、防食塗装の代替措置として耐食鋼の使用を提案した。結局、MSC82では具体的な審議に至らず、MSCは本小委員会に対し、2009年を目標年として検討を行うよう指示した
今次会合において、我が国より当協会「船舶の構造破壊防止に係る基準に関する調査研究」プロジェクトで作成した耐食鋼の有効性を示す文書及び耐食鋼の性能基準案を示す文書を提出したところ、EC及びドイツより、我が国の取り組みを支持する発言があった。
審議の結果、CGを設置し、MSC82及び今次会合に提出された欧州各国及び我が国の提出文書を参照しつつ、次回DE51までに貨物油タンクの防食措置に関するSOLAS条約附属書改正案の検討を進めることで合意した。なお、我が国はECと議場外でSOLAS条約附属書改正案の調整を進め、大筋合意できる内容で合意している。
カーゴタンクの具体的な防食措置(塗装基準案及び我が国が提案した耐食鋼の性能基準案)については、次回DE51から詳細な検討が開始される予定である。

3.IMO検査強化プログラム(総会決議A.744(18))の見直し
前回DE49において、SOLAS第XI-1章第2規則の下で強制要件となっているIMO検査強化プログラム(総会決議A.744(18))に関し、国際船級協会連合(IACS)の検査強化プログラム(UR Z10シリーズ)との整合化を図るべく、(独)海上技術安全研究所 吉田公一氏をコーディネータとしてCGを設置した。
今次会合で小委員会は、吉田氏を議長とする作業部会(WG)を設置した。
WGでは、CGが作成した二重船側ばら積み貨物船に対する検査強化プログラムの草案に基づき、IACS UR Z10.5(二重船側ばら積み貨物船用検査強化プログラム)を参考にしながら二重船側ばら積み貨物船特有の検査内容とすべく必要な文言・規定の加筆修正を行い、新規則(二重船側ばら積み貨物船に関する総会決議A.744 (18) Annex A Part B)案を作成した。小委員会は、これを承認のためにMSC83へ上程することに合意した。
本小委員会は、また、現行の単船側ばら積み貨物船及び油タンカー(単船殻、二重船殻)に関する総会決議A.744(18)とIACS検査強化プログラムとの整合化の必要性に再度合意し、引き続き、吉田氏をコーディネータとするCGを設置して、上記に関する総会決議A.744(18)の改正案を作成することとなった。

4.救命設備関連規定の見直し
(1)人員回収装置
第81回海上安全委員会(MSC81)において、SOLASが適用される全ての船舶について、海難時に海上に浮かんでいる人間を船上に安全に救出するための装置(人員回収装置)の備え付け義務化について審議が行われたが、装置の実効性が確保されることが重要であるとして、DE小委員会で本装置の性能基準を策定することとなっている。
我が国からは、当協会「次世代救命システムの性能に係る基準に関する調査研究」プロジェクトで検討した結果をもとに今次会合における審議の材料として既存の救命設備の基準を参考にした性能基準案を提出したが、より一般的なドイツ提案をベースドキュメントとして、DE51での合意を目指し、今後CGで検討することとなった。
(2)救命艇の座席スペース
現行の救命設備の設計基準の前提となっている平均体重(75kg)や救命艇の着座スペース等の改正の必要性等について検討が行われているが、これまでに、米国、英国、カナダ、国際救命器具製造者協会(ILAMA)は、近年乗組員の体格が向上していることに伴い、貨物船の救命艇に関して平均体重の増加や座席サイズの拡大を提案している。今次会合では、①旅客船用の救命艇については、乗客に女性や子供が含まれるなど、貨物船と状況が異なるため、座席スペースに関する要件は見直さない、②貨物船用の救命艇は座席スペースを拡大する方向で検討することなどが、合意され今後CGで検討することとなった。

その他に、2010年を目処に強制化されるMSC Circular1206に必要な、整備士の教育内容や資格を与える条件に関するガイダンスや、英国から提案された新たな救命艇離脱フックの要件も合わせてCGで検討することとなった。
なお、IACS UI SC213をもとに作成されたSOLAS第III章第31規則1.4で要求される100m離れた救命いかだに関連するMSC Circular案がMSC83に上程された。

5.機関室で発生するビルジ処理関連規定の見直し
MEPC54において、デンマークがMEPC Circ. 511「船舶の期間区域における油性廃棄物の処理システムに関する指針」、 MAROPL附属書I及びVIとの整合が取られるべきと提案したところ、バルチック・国際海運連合(BIMCO)、インド、スウェーデンより、ビルジ水及び油水分離器性能に関する提案があった。また、ドイツからは、ビルジ処理システムに関するガイドライン、決議MEPC107(49)の改正が提案された。結果、MEPC54は、本件をDE小委員会で技術的な検討を行うこととなっている。
今次会合では、各国から提案の説明があった後、議長から次回DE51において本件を終了するためのCG設立が提案され、これを前提として審議が行われたところ、INTERTANKO等より、我が国より提案された統合ビルジ処理システム(Integrated Bilge Water Treatment System; IBTS)を推進すべしとの意見があったが、特段の合意事項はなかった。結果、デンマークをコーディネータとするコレスポンデンスグループが設立された。

6.アスベストを含有する材料を使用した設備の新規設置禁止
MSC82において、我が国より、アスベストを含有する材料を使用した設備の新規設置を全面的に禁止することを目的としてSOLAS条約附属書の規定の見直しを行うことを提案し、本小委員会の作業計画に含めることが合意された。
今次会合において、我が国より、主要国のアスベストの使用禁止に係る規制状況及び舶用品で用いられているアスベストの代替方法に係る我が国の事例を紹介するとともに、本件を次回DE51の議題に含めるよう提案したところ、満場一致の支持を受け、小委員会は本件を次回DE51の議題に含めることとした
また、船舶の修繕又は解撤時にアスベストを取り扱う労働者の安全を確保するために当会が作成した「船舶における適正なアスベストの取扱いに関するマニュアル」を紹介し、会議参加者に配布したところ、好評を得た。
                                                                                                              以上


 
 


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