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IMO会議報告

~第56回IMO/海洋環境保護委員会(MEPC56)結果報告~

7月9日から13日まで、英国ロンドンにおいて開催された第56回海洋環境保護委員会(MEPC56)が開催されました。その主要な審議結果は以下のとおりです。

【概要】
1.バラスト水管理条約
・ノルウェーから提案の「ピュアバラストシステム(UV発生装置)」が活性物質を利用するバラスト水処理システムとして、世界で初めて最終承認を取得した。
・バラスト水管理条約では、2009年1月1日以降に建造される船舶より順次バラスト水処理装置の搭載が義務づけされることとなっている。しかしながら、前回MEPC55において、バラスト水処理装置の開発状況を鑑みると、条約で規定する期日からの装置の搭載は困難ではないかとの指摘があり、今次会合においてその解決策について審議されたが、2009年1月1日からの装置の搭載は困難であるという認識は共有化されたものの、延長の期日、延長の方法について合意が得られず、BLG12で引き続き検討することとなった。

2.シップリサイクル
5月に開催された中間会合(ホットメールニュースNO.H-3(2007年度)にて報告)に引き続き、主に条約の逐条毎に審議が行われ、その他、以下の事項が合意された。

・新条約採択までの作業計画が明確化された。
2008年1月 MEPC作業部会中間会合(ホスト国:フランス)
           4月 MEPC57(条約案及び条約採択会議開催日程案の審議)
        10月 MEPC58(新条約案最終化)
2009年4月 条約採択会議(開催日程は2008年6月の理事会にて最終決定)
この他、IMO/バーゼル条約/ILO合同作業部会の第3回会合をILOがホストとして開催するよう要請することとなった(開催時期未定)。

リサイクル施設に関するガイドラインについては、日本、米国及びデンマークからそれぞれ提案がなされていたが、日本提案をベースに他提案を取り入れることが合意された。今後とも当協会の「シップリサイクルに関する調査研究」において検討していく予定。

3.船舶からの大気汚染防止
3.1 海洋汚染防止条約(MARPOL条約)附属書VI(NOx、Sox等)関連
(1)NOx・SOx次期規制に関する附属書VIの見直し作業がばら積液体・ガス小委員会(BLG)において行われているが、本年4月のBLG11では検討が終了しなかったことから作業計画の1年間延長が承認された。この結果、BLG中間会合(10月)、BLG12(来年2月)での審議を経て、次回MEPC57(来年3月)において最終化を行い、MEPC58(来年10月)において附属書VIの見直し改正案が採択される見込みとなった。

2)BLG11で提案された6つのSOx規制案(残渣油の仕様を制限する等)を科学的見地から評価するため、石油精製供給業者を含めた関連業界を横断する科学者会合グループをIMOに設置し報告書を年内に報告することが承認された。この報告書を待って議論を再開するため、SOxに関する検討作業はBLG12まで中断される。

3)現行の硫黄酸化物排出規制海域(SECA)内において用いられる排ガス海水スクラバーからの排水基準を最終化する作業が行われたが、欧州内においても意見が分かれ、BLG中間会合(10月)における最終化を目指すこととなった。

3.2 GHG(温室効果ガス)関連
1)GHGに関する排出権取引などの市場原理に基づく削減方法については、コレスポンデンス・グループで検討し、MEPC59(2009年7月)において一定の成果を出すべく努力をすることが確認された。

2)大気汚染問題への国際船舶の寄与について評価した「船舶からの地球温暖化ガス排出に関するIMOの調査」(IMO GHGレポート)の統計データが1996年当時と古いことが認識され、日本・ノルウェー共同提案の仕様案をもとに更新作業を行うこととなった

3)船舶からのCO2排出量を把握することを目的としてデータ提供を促進するために、各国からのCO2インデックスデータ集約に係るMEPC/Circularが作成された

4.その他
・パナマが近々批准することを表明したため、船底へTBT塗料の使用を禁止する「2001年の船舶の有害な防汚方法の規制条約(AFS条約)」の発効要件が年内に満足する見込み。

次回MEPC57は、2008年3月31日~4月4日に開催予定。

【解説】
1.バラスト水管理条約
1)バラスト水処理システム
バラスト水処理システムは、IMOにおいて策定された「バラスト水管理システムの承認に関するガイドライン(G8)」を考慮して主管庁により認証されなければならない。さらに、活性物質を用いるバラスト水処理装置については、「活性物質を使用するバラスト水管理システムの承認に関する手順(G9)」に基づきIMOにより承認されなければならない。

今回G9に基づき最終承認を取得したノルウェー提案の「ピュアバラストシステム」は、アルファ・ラバル社開発のもので、光触媒により発生する「ラジカル」によって、海水中の生物を死滅させるという原理を採用し、処理過程では化学薬品を一切使用しない。また、来年1月または2月には型式承認を取得する予定にしており、量産体制に入る見込みである。

その他、前回MEPC55で基本承認が審査に必要なデータが不足していたため見送られた韓国提案の「NKO3(主成分:オゾン)」は基本承認を取得した。世界のバラスト水処理装置の承認状況等は以下のとおり。
 最終承認:1件(ノルウェー)
 基本承認:6件(日本、韓国2件、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー)
 開発中の装置:8件

2)バラスト水管理条約の適用期日
バラスト水管理条約では、2009年1月1日以降に建造される船舶より順次バラスト水処理装置の搭載が義務づけされることとなっている(下表参照)。

適用船舶の区分

適用時期

2009年以降に建造される5000m3未満のバラストタンクを有する船舶

2009年1月1日

2009~11年に建造される5000m3以上のバラストタンクを有する船舶

2017年1月1日

2012年以降に建造される5000m3以上のバラストタンクを有する船舶

2012年1月1日

2008年以前に建造される1500m3~5000m3のバラストタンクを有する船舶

2015年1月1日

2008年以前に建造される1500m3未満または5000m3以上のバラストタンクを有する船舶

2017年1月1日

バラスト水処理装置の開発状況を鑑みると、条約で規定する期日からの装置の搭載は困難ではないかとの指摘があり、今次会合においてはその解決策について審議されたが、最初の適用時期を何年間延期すれば実行可能となるか、その手段としてMEPC決議とするか新たに議定書を策定するか等適用期日の延長期間やその方法で各国の合意が得られず、BLG12で再度検討することとなった。

また、IMO法務部は、条約発効が最初の適用日である2009年1月1日より遅れた場合、2009年1月1日から条約発効日までの船舶は、条約発効時点では装置を搭載しなくてもよいとの見解を示していたが、各国の支持が得られず、「条約発効時点で、2009年1月1日以降に建造される船舶に搭載を義務付ける」ことが再確認された。

2.シップリサイクル
今次会合においては、主に条文の逐条毎の審議を行った。主な審議結果は以下のとおり。

・内航船等を本条約の適用除外とすることについて概ねの合意が得られたが、条約の規定ぶりについては合意に至らなかった。また、内航船を条約の適用除外とした場合の不法輸出の防止策については改めてその必要性が認識されたものの、具体的な条文案の策定には至らなかった。

・英国より、「条約発効後、ある締約国(リサイクル国)に条約の基準に達していないリサイクルヤードがある場合、安全・環境面の最低限の基準をクリアーしていれば、当該リサイクルヤードを暫定登録(Compliance Register)し、その改善計画をIMOに置かれる委員会(Implementation Committee)がモニター・助言し、条約の基準をクリアーすれば締約国の承認リサイクルヤードに格上げする(暫定登録の間も締約国の船舶のリサイクルは可能とする)」との提案がなされた。反対意見もあったものの、十分な解撤能力を確保する観点から英国提案の趣旨への賛同が多数となり、次回作業部会中間会合に向けて、英国が条文案を提出することとなった。

・米国からの「非締約国の安全・環境上適した施設でのリサイクルを、二国間、多数国間又は地域の協定を締結することにより認める」との提案については、米国の意図(十分な解撤能力の確保等)は評価されたものの、米国提案は、①非締約国であるリサイクル国が締約国の船舶もリサイクルできることとなり条約批准のインセンティブがなくなること、②二国間、多数国間及び地域の協定が林立する状況はグローバルな条約を策定する趣旨に反すること、③米国提案を取り入れる場合には非締約国のリサイクルヤードを使用する場合の特別要件等を議論する必要があること等の懸念が表明された。

3.船舶からの大気汚染防止
3.1 海洋汚染防止条約(MARPOL条約)附属書VI(NOx、Sox等)関連
1)附属書VIの見直し
本年4月に開催されたBLG11において、予定されていた検討が終了しなかったことから作業計画の1年間延長が提案された。あわせて第2回BLG中間会合の開催が承認され、本年10月29日~11月2日にベルリンで開催されることとなった。なお、今次会合では、NOx次期規制案に関する具体的な議論は行わなかった。

2)政府/海事業界の専門家による科学者会合
附属書VIの見直し作業において提案されているSOx次期規制案を科学的に評価することを目的に、海事関連業界、石油精製業界への影響を調査するための政府/海事業界の専門家による科学者会合の設立が承認された。年内に3回の審議を行い、BLG12及びMEPC57に向けて報告書を提出することとなった。したがって本報告書に基づきSOx次期規制案に関する議論を行うことが重要であることから、第2回BLG中間会合においてSOx規制に関する議論は行わないこととなった。

同会合のメンバーは、日本、サウジアラビア、英国、ドイツ、米国、ノルウェー、バハマ、シンガポール、スウェーデン、国際石油産業環境保全連盟(IPIECA)、国際バンカー機関(IBO)、欧州内燃機関製造者協会(EUROMOT)、国際地球友の会(FOEI)、国際海員健康協会(IMHA)、国際自由労働組合連合会(ICFTU)、国際船級協会連合(IACS)、英国マリンエンジニアリング学会(IMarEST)、国際海運会議所(ICS)、国際独立タンカー船主協会(INTERTANKO)、バルチック・国際海運連合(BIMCO)、石油会社国際海事評議会(OCIMF)。

3)排ガス海水スクラバーからの排水基準
コレスポンデンス・グループからの報告をもとに、排ガス海水スクラバーの排水基準について、酸性度(pH)、油分、PAH(多環芳香族炭化水素類)等の規制すべき排水成分について議論が行われたが、意見がまとまらず、第2回BLG中間会合で最終化を目指すこととなった。

3.2 GHG(温室効果ガス)関連
〈背景〉

2003年12月のIMO第23回総会において、「船舶から排出されるGHGの削減に関するIMOの政策及び実行について総会決議A.963(23)」が採択され、GHGベースラインの設定、GHG効率の算出方法の開発、GHGインデックスの適用方法の検討、技術上、運航上及び市場メカニズムによる削減方法の評価等の作業がMEPCに付託された。これを受けてMEPC51より作業が開始されたが、MEPC54において合意された作業計画では、今次会合からMEPC59まで「効率的な観点によるベースラインの方法論の検討」及び「GHG排出処理するにあたる技術上、運航上、市場原理に基づいた考察」を行うこととなっている。

〈審議結果〉
京都議定書において削減義務が定められていない発展途上国(中国、サウジアラビア等)及び未批准国(米国等)でGHG削減に消極的な姿勢を示すグループと、国際海運のGHG削減についてもIMOの場において全ての国が一致して解決するべき問題と捉えるグループ(欧州、日本等)の、大きく異なる2つの立場から議論が交わされた。

1)船舶から排出されるGHGの削減に関する検討
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のもとに設立された、科学上及び技術上の助言に関する補助制度(SBSTA)に対して近年IMOからの具体的な進捗が無いとのIMO事務局からの報告に対し、オランダ、アイルランド、フィンランド、イタリア、ドイツは、IMOあるいはUNFCCCにおいてGHG削減に関する具体的な進捗が見られない場合、地域規制や地域を限定した市場原理の導入を招くことに懸念を示した。
また、・MEPC55に英国より排出権取引に関する提案、及び・今次会合にノルウェーよりCO2排出削減を削減するため市場原理を用いた削減方法の一つの可能性としてGHG排出基金設立の提案が提出されていた。しかし今次会合では本件に関する十分な審議時間が無く、コレスポンデンス・グループで検討を行い、検討結果が次回MEC57に報告されることとなった。

2)IMO GHGレポートの更新作業
IMO GHGレポートの内容が1996年の統計に基づいた古いものとなっていることから、日本・ノルウェーの共同提案をもとに更新作業仕様案が作成され、MEPC59又は2010年までに同レポートの更新作業を行うこととなった。

3)CO2インデックスデータ集約のためのデータベース
船舶からのCO2排出量を把握することを目的として、各国からのCO2インデックスデータを集約するため、IMOのデータベースであるGISIS(Global Integrated Shipping Information System)を使用することがMEPC55において合意されているが、今次会合において、ノルウェー提案をもとにデータベース様式が合意され、各国からのデータ提供を促進するために、MEPC/Circularが作成された。

4.その他
今次会合時点でAFS条約を批准した締約国数が24カ国、世界の総商船に対する商船船腹量が16.63%であったが、議場で同船腹量21.46%を有するパナマから間もなく批准するとの発言があり、本年中にAFS条約の発効要件である「締約国25カ国以上、船腹量25%以上」を満足する見込みとなった。条約は、発効要件を満足してから12ヶ月後に発効する条約批准状況については、IMO HP(http://www.imo.org)を参照下さい。

以上

●本件に関するお問い合せ先
(財)日本船舶技術研究協会 基準・規格グループ 貴島
TEL:0303-3502-2277 FAX:03-3504-2350
e-mail:
kijima@jstra.jp


 
 


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